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中心静脈栄養と経鼻経管栄養、食べることにつながるのはどちら?

病院で見離された胃ろうの父が「口から食べる幸せをサポートする包括的スキル」の実践でわずか3週間で自力経口摂取ができるようになるまで 。

中心静脈栄養だと回復期病院に行けない

父は2月に脳梗塞を発症、重度の麻痺が残りました。寝たきりで、言葉もほとんど発せず、急性期病院では療養型病院を勧められました。
食べる訓練がしやすいからと言われ選択した中心静脈栄養があだとなり、中心静脈栄養の患者を受け入れない回復期病院に行けなくなってしまったのです。
そんなこととはつゆ知らず、回復期病院移転の話し合いと思い込んで参加した面談で主治医からそのことを告げられ、己の無知を呪いました。
回復期病院はリハビリに特化した病院です。療養型病院は回復の見込みが薄く、積極的な治療を行わない病院と聞いていました。
父に良くなってもらいたいと願っていたのに回復の見込みはないので看取りの準備をと言われたにも等しく、衝撃を受けました。

主治医に「父は確実に良くなってきています。経鼻経管栄養に変えて何とか回復期病院に行かせてください!」と必死に頼み込みました。
「経鼻経管栄養にすると誤嚥性肺炎になることもある。それでもよいなら。回復期病院が受け入れるかどうかは病院次第。」と言われ、経鼻経管栄養への切り替えが徐々に始まりました。
父が良くなっているところを主治医に見せれば診療情報提供書の内容も受け入れてもらいやすいものになるかもしれないと一計を案じました。
主治医の回診時に「おはよう」「ありがとう」が言えるように特訓し、質問の順番が「右手を上げて、グーにして、指を2本出して」といつも決まっていたので順番を覚え込ませ、スムーズにできるよう繰り返し練習しました。
特訓開始から1週間後、一連の動作が回診で初めて成功した時は父も得意そうな顔をしました。

経鼻経管栄養
鼻の穴からチューブを通して体内に栄養を注入する「経鼻経管栄養」は、短期間で嚥下障害が治りそうな患者に向いていますが、装着時には不快感や苦痛を伴うことがあります。

中心静脈栄養
心臓の近くにある、太くて血流の速い静脈を中心静脈といいます。一般的には鎖骨下を通る静脈から中心静脈にカテーテルを挿入して、栄養を直接注入します。経静脈栄養が必要とされる期間が、末梢静脈栄養よりも長く見込まれると(目安として10日以上)、中心静脈栄養が行われます。

引用: 経管栄養の種類と特徴、メリット・デメリットを徹底解説!

療養型病院だと2度と食べられなくなる

急性期病院は2ヶ月以内に退院しなくてはなりません。また入院後2ヶ月以内に回復期病院に転院できなかった場合は回復期病院に入ることはできないというルールがあります。
療養型病院、回復期病院、介護付き有料老人ホームの情報を集め、うち6件を見学しました。
ある療養型病院では「今空きはない。待機は1年以上になることもある。食べるリハビリはほとんどない。60床あって毎月3~4人亡くなっていく」と聞かされ、驚愕しました。
相談員の方は大変親切で親身になってくれる方でしたが、療養型病院に父を入れてはいけないと決意しました。
回復期病院に入れないときは金を工面してでも介護付き有料老人ホームに入所し、摂食嚥下の専門家である言語聴覚士を呼んで食べる力を取り戻すことを家族内で確認し合いました。
このときは言語聴覚士が摂食嚥下の専門家であることをまだ信じていました。

病院、施設は必ず見学する

経鼻経管栄養に変更した2週間後の昼頃、兄から電話がありました。
「S病院が受け入れてくれると相談員から連絡が来た」
嬉し涙がこみ上げ、言葉にならず2人で泣きました。
「これで父は食べられるようになる」と心から安堵しました。

S病院は名古屋で有数の回復期病院です。リハビリが毎日3時間あります。
回復期病院には入院料という区分があります。入院時と退院時の改善度合いが最も高い病院に入院料1が与えられます。
妹が回復期リハビリテーション病棟協会の東海中部エリア会員病棟一覧・情報公開からリストを作成し入院料、交通アクセスを考慮した優先順位を付けました。
見学済みで入院料1のK病院が入院希望第1候補、未見学で入院料2のS病院が第2候補でした。
転院期限が迫っていた焦りと、諦めかけていた回復期病院に受け入れてもらえたという喜びで判断を誤り、見たこともない病院に父を委ねてしまったことを後で激しく後悔しました。

回復期リハビリテーション病棟入院料の概要

入院料1 入院料2 入院料3
医師配置 専任常勤1名以上
看護職員配置 13対1以上(うち7割以上が看護師) 15対1以上(うち割以上が看護師)
リハビリテーション職員配置 専従常勤で、PT3名以上、OT2名以上、ST1名以上 専従常勤で、PT2名以上、OT1名以上
社会福祉士配置 専任常勤1名以上 不要
新規入院患者のうち「重症者」(日常生活機能評価10点以上)の割合 3割以上 2割以上 規定なし
重症者における退院時の日常生活機能評価 3割以上が入院時から4点以上改善 3割以上が入院時から3点以上改善 規定なし
自宅等に退院する割合 7割以上 6割以上 規定なし
入院時の重症度、医療・看護必要度A項目 1点以上が5%以上 規定なし 規定なし
休日にもリハビリテーションを実施できる体制 不要(体制を備えた場合には加算あり)

引用: 中医協総-3 個別事項(その5:リハビリテーション)平成29年10月25日 – 厚生労働省

Dakhla

家族会役員

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