口から食べる幸せを守る家族会
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当事者家族アンケート結果からみえてきたこと

9月8・9日に仙台で開催された第24回日本摂食嚥下リハビリテーション学会で発表したスライドです。
これまでの相談メールに関する内容です。
聴講者や座長から「食べる支援の必要性」について相当な賛同を得られたという実感がありました。

題目、当事者家族へのアンケート調 査から見えた食支援の課題。NPO法人口から食べる幸せを守る会、竹市 美加、小山珠美による共同発表。

はじめに、NPO法人口から食べる幸せを守る会では、患者・家族からメールによる相談を受けている。5年間で617件相談があり、殆どが「食べさせてもらえない」という内容であった。相談に対し、医療資源や対応可能な施設を紹介し、主治医に食べたい希望を伝えるようにアドバイスを行ってきた。今回、相談者への追跡調査を行ったので当事者の現状について報告する。

研究方法、対象:2013年7月~2018年8月までに当NPO法人に相談があった617名中、メールで相談があった208名。アンケート回収率:27%(57名)。アンケート方法:電磁的にアンケートを実施し回答を単純集計した。倫理的配慮:プライバシーに配慮し研究目的や方法についてメール文書で説明し、了解を得た上で実施。アンケートは無記名として、暗唱番号をデータ化して保管。

アンケート内容、当事者基本情報:相談前の状態 性別、年齢、診断名、既往歴、栄養方法、療養場所、要介護度、認知症の診断有無、食べたい希望の表現について 嚥下機能評価について 評価した職種、評価を診断するに至った検査方法、検査前の直接訓練の有無 相談後の状態 栄養方法、療養場所、転帰、相談後の経過 相談者について 性別、年齢、当事者との続柄、相談理由 食べる社会へ向けて 口から食べることを阻害していると思われる因子、相談は役立ったか、医療資源の情報は役に立ったか、口から食べる支援を社会全体で行うために必要なことは、家族会メーリングリストへの参加意思

結果①当事者の属性1男性61%女性39%性別①39歳以下5%

結果②当事者の属性 食べられないと診断を受けた時の病名 あり 68% なし 32% 相談時の既往歴 あり 33%

結果③相談時の状態 相談前の要介護度 あり 75% なし

結果④嚥下機能評価について医師68%言語聴覚士25%看護師0%その他3%わからない4%主に食べる評価をした職種048121616811148どんな検査や様子を受けて食べられないという診断を受けましたか①食べるリハビリはまったくやっていない54%②食べるリハビリを少しやった28%③わからない18%検査の前に直接食べるリハビリをやってもらいましたか要介護高齢者に対し充分な食べるリハビリをせず、難易度の高い検査が行われ食べられないと判断される

結果⑤相談後の転帰1 ①経口摂取のみ 12% ②末梢点滴のみ 10% ③中心静脈 栄養のみ 9% ④胃ろう栄養の み 28% ⑤経鼻経管 栄養のみ 23% ⑥経口摂取との併用 18% 相談後の栄養方法 ①経口摂取のみ 5% ②末梢点滴のみ 14% ③中心静脈 栄養のみ ④胃ろう栄 11% 養のみ 26% ⑤経鼻経管 栄養のみ 37% ⑥経口摂取との併用 7% 相談時の栄養法 食べられないと判断されると、胃瘻や中心静脈栄養のみとなり、継続した評価 や介入がなされず食べたい希望が絶たれてしまっている現状がある

結果⑥相談後の転帰 相談後の療養場所 相談時の療養場所 経口摂取が再獲得できなければ、転院を余儀なくされ、在宅療養が困難となる

考察◆経口摂取につなげるためには、充分なリハビリをしたうえで評価を行い、判断する必要がある◆嚥下造影・嚥下内視鏡は要介護高齢者にとって難易度が高い検査であることをふまえ、包括的視点で評価をする必要がある

考察◆急性期から治療と並行して、経口摂取を見据えたケアが必要である◆急性期病院から回復期・療養型病院、在宅へ、継続的にリハビリ・評価を行い食べる希望をつなげていく必要がある

おわりに要介護高齢者は、食べたいと願うが「食べさせてもらえない」現状がある。急性期から食支援の充実を図り、後方施設への継続した支援を行うことが、食べることを当たり前に選択できる社会へつながる

摂食嚥下障害を有した 当事者家族の相談から 見えた食べる支援の課題(2) 実態から抱く家族の思い Unresolved issue in feeding support revealed by consultation from dysphagia patients' family according to a survey Part 2 1)NPO法人口から食べる幸せを守る会® 〇小山珠美1) 竹市 美加1)

はじめに 摂食嚥下障害を有した要介護高齢者は 増加している。当NPO法人では、当事 者家族から食べることの支援について相談 を受けてきた。 今回、相談者への追跡調査を行った結果、 経口摂取を禁止されたまま、食べる支援が なされず人工栄養のみとなり、当事者や家 族が辛い思いですごしていることがわかった。 実態から抱く家族の思いと我々が為すべき 課題について報告する。

研究方法【対象】2013年7月~2018年8月までに当NPO法人に談があった617名中、メールで相談があった208名。その中でアンケート調査に回答があった57名アンケート回収率:27%(57名)【研究方法】電磁的にアンケートを実施し回答を単純集計【倫理的配慮】プライバシーに配慮し研究目的や方法についてメール文書で説明し、了解を得た上で実施。アンケートは無記名として、暗唱番号をデータ化して保管

アンケート内容相談者属性性別、年齢、診断名、既往歴、栄養方法、療養場所、要介護度、認知症の診断有無、食べたい希望の表現について嚥下機能評価について評価した職種、評価を診断するに至った検査方法、検査前の直接訓練の有無相談後の状態栄養方法、療養場所、転帰、相談後の経過相談者について性別、年齢、当事者との続柄、相談理由食べる社会へ向けて口から食べることを阻害していると思われる因子、相談は役立ったか、医療資源の情報は役に立ったか、口から食べる支援を社会全体で行うために必要なことは、家族会メーリングリストへの参加意思

結果1:相談者の属性1 男性 19% 女性 81% 1)相談者性別 男性 女性 ①39歳以下 16% ②40~64歳 77%

結果2:相談者の属性 当事者との続柄

結果3:相談結果 ①役に立った 82% ②役に立たな かった 18% 4)当NPOに相談したことは役に立ちましたか • 具体的な転院先が見つからなかった • 役に立てようとしな かった • インターネットだけでは探しきれない • 病院入院中で対応してもらえなかった • 介護者にとって救い • 気持ちを分かってもらえた • 具体的な対応を教えてもらえた • 頑張る勇気がわいてきた

結果4:食べることを阻害する要素 口から食べることの意義が理解されていない 食事支援技術をもっている人材が不足している 生活者として包括的に支援してもらえない 嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査のみが優先される 医師が早い時点で口から食べることが困難と判断してしまう その他 38

検討結果5:食べさせてもらうことがで きる社会を作るために必要なこと 人材育成 診療報酬システムの問 題や家族の社会発信 医師らの権 限を変える

結果5:医師らの権限と認識変容医師が一言、危険、口から食べられないと決めるとそれがすべてになり救いがない・・・医師がまず、年齢や既往症のみで確定的な診断を下さず、家族の話にも耳を傾け、今食べられなくなっている理由を慎重に判断し、リハビリありきの選択を積極的に検討するべきだと思う医師は食べられないと決めつけないで食べる喜びをどんな人でも持っているということの認識を高める教育医師や看護師の家族へ寄り添うケアがほとんどない

結果5:食べることの価値とスキルをもった人材育成熱意あり本物の技術者の増加させてほしい医師の判断技術、意欲を向上させてほしい人材をもっと育成してもらいたい正しいスキル、口から食べることの重要性の理解や行き過ぎたリスクへの寛容危ないからやらないではなく、危険を回避しながらトライしてくれる人材育成育成口から食べる食事を学ぶ機会を全県市町村の保健センターで開催など

結果5:診療報酬改革と家族参画医療制度に問題があるような気がします。病院の経営上、リハビリをやってもおいしくないのでしょう。そういう制度を変えないと病院がリハビリに力を入れない診療報酬制度の変更急性期医療で早期の摂食訓練を始めた場合の大幅な医療加算急性期や回復期で経管栄養から経口摂取に移行できた場合の大幅な医療加算急性期での食べるリハビリ単位を大幅に増やす家族が食べさせてほしいと社会発信する

結果6:家族会への参加 ①参加する72%②参加しない28%

考察◆医療や福祉の現場では、要介護高齢者に対し、適切な食べるアプローチを行なわず、食べられないと判断されたまま人工栄養のみとなってしまう傾向がある。◆当事者や家族は、少しでも口から食べ続けたいと願っている。◆その願いに応えるべく対策として食事支援技術をもっている人材育成が必要◆医師は早い時点で食べられないという判断をするのではなく、経口摂取の可能性を見出す方略をチームアプローチする◆当事者家族からの社会発信できるような支援体制整備が必要。

まとめ ➢口から食べる支援の価値を認識 ➢食支援技術を持つ人材を増やす ➢包括的食支援ケアの汎用 ➢当事者家族への思いやり ➢食べる支援への診療報酬を手厚くする ➢当たり前に食べることを選択できる社会 への変革

NHK神奈川のニュース 「口から食べる」支援を求める集会

口から食べる幸せを守る家族会を立ち上げました。活動の柱を紹介

小山珠美(看護師)

世話人副代表, NPO法人口から食べる幸せを守る会®理事長, JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院

口から食べることは生命を育む根幹であり、人間が幸せに生きるための基本的な権利です。しかし、現況の医療や福祉の現場では、口から食べたい願いが叶わず、点滴や胃ろう栄養のみという方々が大勢いらっしゃいます。この現状をなんとかしたいという思いで、看護師として実務や啓発活動を行ってきましたが、救いの手を求めている患者さんやご家族への支援がまだまだ足りません。そこで、NPO法人「口から食べる幸せを守る会」を有志で立ち上げ、直接的な医療活動を継続していくだけでなく、幅広く社会貢献したいという考えに至りました。私たちは、口から食べることの大切さについての普及・啓発活動に加えて、よりクオリティーの高い食支援ができる人材育成を図ります。そして、保健・医療・福祉関係者、当事者・ご家族、行政、一般企業の方々と有機的なネットワーク構築を拡充し、「口から食べて幸せに暮らせる優しい社会」になるよう力を注ぎたいと考えています。

竹市美加(看護師)

世話人代表, NPO法人口から食べる幸せを守る会®副理事長, 訪問看護ステーションたべる

兵庫県西宮市で看護師をしております竹市です
食べる支援に特化した訪問看護ステーションたべる を、9月4日に開設しました
家族会から皆様が発信してくださることが、食べることが当たり前に選択できる社会への変革への一歩となることを願っています

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