口から食べる幸せを守る家族会
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家族を守れるのは家族しかいない

『誰か助けて!』と叫んでも今の世の中の医療体制はそれに応じてはくれず、結局は家族がやるしかないという厳しい現実。

突然口から食べることを禁じられたら…
ご当人やご家族の戸惑い、不安、何とかしたい!という思いは、病状に違いがあっても皆様共通だと思います。
私も患者家族として渦中に放り込まれましたのでお気持ちが良くわかります。
その経験を少しお話しさせていただきます。

私の父は昨年5月半ばに誤嚥性肺炎で入院し、絶飲食と言われました。
そのことに疑問を持ち、”口から食べる幸せを守る(KTSM)家族会”に入会しました。
口から食べる訓練を望んでも、病院側の反対で入院中には叶わず、父は約半年のブランクを経て再び口から飲み込む訓練を始めて半月で、残念ながら急性心不全にて他界しました。
ですが好物を口にして「美味しい」と目を輝かせた父の笑顔は今も私の宝物です。

父が絶飲食を言い渡された当初、私がまず考えたのは『誰に(何処に)言えば助けてもらえるのか?』ということです。
ネットで調べました、本を読みました、知り合いにも聞き回りました。
こうしてもがいて行く中でわかった事は、『誰か助けて!』と叫んでも今の世の中の医療体制はそれに応じてはくれず、結局は家族がやるしかない、“家族を守れるのは家族しかいない”という極めて厳しい現実でした。

KTSM実技セミナー(第69回神奈川実技セミナー)に出て、「口から食べる幸せをサポートする包括的スキル」を読んで、学びました。
病院では食べ物を使っての練習は出来ませんでしたが、毎日仕事帰りに父の元に通って筋肉拘縮予防のマッサージ、口腔ケア(重要です)、ポジショニングを整えることをやりました。
父は認知症はなかったのですが、経鼻胃経管栄養だけでは元気も出ません、舌の運動や声を出して文章を読む練習をと言っても、どんどん口数が少なくなりました。
後から気づいた事ですが、本人は やり甲斐を感じられなかったのです。
食べたいのに現物の食べ物無しで、いつ実現するかわからない再び食べる日に備えての練習なんて。

高次脳機能障害や認知機能が低下した人へのアプローチも含めた食事介助スキルも写真豊富に解説。

そしてやっと退院。いよいよ自宅で口から食べる練習!と勢い込んだのですが、母が癌の治療で弱ってしまったこと、父本人も入院の間に介護度が増してしまい、私は必要不可欠な事だけで手一杯、父の食べる練習に取りかかれませんでした。

ようやく念願の食べる練習が出来たのは、父に頼んで有料老人ホームに入ってもらってからです。それでもすぐにとはいきませんでした。
主治医の許可だとか、ホーム担当の歯科医による嚥下検査だとか。
それでも一つずつ条件をクリアしました。そしてとても有難い幸運に恵まれてKTSM理事長の小山先生に父を診ていただく機会を得ました。
食べ物を使っての練習は本人のやる気がまるで違いました。
本人がやる気になると、周りも変わってきます。
もともと父が入居したホームは看護、介護のスタッフさん達もSTさんもOTさんも心ある方々でしたが、父をより良くしたいと更に考えてくださるようになりました。
ですが 父専属の方々ではない訳ですから、やはり食べる訓練は家族が関わらないと進みません。
そして正直、これは生易しいことではありません。
緊張します。医療者ではない自分がやる事に不安もあります。
誤嚥させたら大変だと、看護師さんから習った痰吸引の機械をすぐ使えるようにしていました。
本当は笑顔でやれば良かったのですが、緊張で顔が引きつっていたのでしょう、父本人から「頑張れ!」と逆応援されたほどです。

『こんなに嚥下機能が低下しないように誤嚥性肺炎で入院しても食べることをやめさせないで欲しかった』『そもそも誤嚥性肺炎を防げなかったのか?』切実に思いました。
一度低下した機能を取り戻すのは大変な事です。危険がないとは言えません。
我が家は父自身も私も弟も「無理をしないで長生きするより、食べる楽しみにチャレンジする」ことを選びました。
何も食べられず弱ってベッド上での生活には、父らしさが全くないからです。
母だけは「無茶しないでね、パパに生きていて欲しいから」と言っていました。
でも今は、「パパ あんなに急に逝ってしまうなんて…その前に少しでも好物味わえて良かったわね」と、言っています。

つまり、どう生き続けるか、死ぬまでにどうしたいのか、だと思います。
厳しい現実でしたが、支えは応援してくれる家族会の仲間。
仲間も頑張っているのだから、私も頑張ろうとの思いでした。

今、先が見えずお辛い気持ちを抱えてこれをお読みくださった方、どうか、“諦めない”でください。
そして感じてください、全国に同じような思いを抱えている仲間がいます。
あなたはお一人ではありません!!

家族の力で食べる力を取り戻した経験談

母の口から食べる幸せを守り続ける

スイッチが入れば食べられる

M.Yasukawa

家族会員

父が誤嚥性肺炎で、ある日突然 口から食べる事を禁止されました。
その事に疑問と憤りを感じたのがKTSM入会のキッカケです。
家族会会員として「食べたい!」「食べさせたい!」を応援したいと思います。

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